巣園流とは
巣園流とは
我が国の水泳は、江戸時代には武芸として流派を競い、明治時代以降は学校教育に取り入れられ、水府流や神伝流が普及した。大正の末期、本学園創立者遠藤隆吉先生は、千葉県北条小松原海岸に水泳寮を建てられ、館山湾で行う水泳教育の目標についての研究会を重ねられ、世界の水泳を綜合した水泳教育の理念を立せられた。それが巣園流である。爾来九十年、巣園流の教育は太平洋戦争で一時中断したが、1959年(昭和34年)に建せられ、門人の数も戦前、戦後を通じ通算2万名を超えている。
巣園流の目的
水泳は、河川や海で人間生活と共に自然発生的に成長したと考えられている。そして水は近代スポーツとして発達するにつれて、速さを重視するようになっている。しかしそれでは、人間生活における「泳ぐこと」の本質から遠ざざかり、学校教育の中で必要な普通性に欠ける。そこで、本校では、昔から伝えられる日本泳法を近代泳法の中に生かし、両方の長所を一体として泳ぎを体系化した。これを巣園流と名づけ、泳法の練習を内容とする臨海学校を創立当初の大正時代から毎年開設して来た。そして、訓練の最終段階を遠泳においたのである。今日まで社会情勢により、多少の取扱い上の変動があったが、その本質をはずれることは無かった。すなわち、現在の必須教科目(中学生)となっているのは、この伝統の歴史によっている。
水泳が青少年の心身の発達に極めて良い効用を発揮することは良く知られている。いわゆる臨海学校では生理的、肉体的発育に力点がおかれ、その場における精神的訓練に配慮されていないことが多い。しかし、本校では、教育の一環として巣園流水泳学校を実施するにおいて、海岸という大自然の教場の特質をフルに活用する心身一如の全人数育であるべきだと考えている。日頃の学校生活よりも、はるかに集中的で、又、多面的配慮を伴った高度の学校集団活動なのである。配慮に欠ければ、生命の安全を脅かしかねず、泳ぐこと以前に学校教育として失格であろう。
巣園流は、生理的、肉体的発育を決して否定するものではない。むしろ、積極的にその効用を認識し、その効用のすべてをねらい、確実なる効果を「神の万人への恵み」として感謝を以って拝受する心構えを力説している。それと共に各種の巣園流技術の習得、練磨に励み、水と一体になって泳ぐまでの「得業士」の水準を目指すことを調練目的としている。その訓練課程の区切りに、大海を長時間泳ぐ遊泳体験を重ね、大自然の中での自己との願い、真の友情や、人との協力等、精神面の体験的成長に大きな期待をかけている。日頃、体験したことのない合宿生活による集団訓練は、一層それ等の効用を増すものと確言をもってこの巣園流水氷学校は続けられて来た。
それらの実現に、OBの諸君が毎年助手として協力してくれるのも一つの特長である。
この行事に一貫して使用している六尺の水褌(指導者は黒、生徒は白、サラシ木綿)は、古来日本泳法のユニフォームとして、その歴史と共に歩んで来た。そればかりでなく、海の訓練に伴う危険からの救助に極めて有効性を持っている。また、最終目的の遠泳に当たっては、固く、キリリッと締めることによる独特の精神的緊張感は心の動揺を抑え、長丁場を泳ぐ際の道動を軽快にし、万一の救助に際しては文字通り「命綱」となり、寸刻を争う場合などには、これ以外頼るところの無いものである。安全で、男らしく、かけがえの無いユニフォームである。
巣園流 教本より
巣園流水泳教目
巣国流では、泳力および泳法技術の習得、練磨に励み、水と一体になって泳ぐまでの「得業士」の水準を目指すことを訓練目的としている。
水泳学校においては、水泳訓練の初日に級を分けるための検定試験をし、訓練はすべて級別で行なう。
進級試験は各級教目について行なう。また、特別技能のある者については別に選考することがある。
得業士(黒帽に白線3本)
巣園流師範の資格を有する。
一級(黒帽に白線1本)
指導法、救助法、水上競技規則、漕法、御前(静抜手)舞鶴、立体全部、応用泳法全般。
二級(白帽に黒線2本)
大抜手、片抜手二重伸、トラジオンストローク、片手抜、諸手抜、平体抜手全部、横体片抜手全部、ダイビング全部。
三級(白帽に黒線1本)
抜手伸、片抜手、小抜手、諸抜手、バタフライストローク、早抜手、水中一重伸、水中蹴伸(諸蹴、片蹴)、逆下、
ダイビング規定跳、100m 1分30秒以内、遠泳5時間以上。
四級(白帽に赤線2本)
片抜手一重伸、サイドストローク、諸手伸、継手伸、三段伸、順下、ポロ、水中羽交伸、横体全部、浮身、潜水。
五級(白帽に赤線1本)
一重伸正体、プレストストローク、平伸略体、同正体、バックストローク、二重伸、二段伸、平体全部。遠泳1時間以上。
六級(赤帽に白線2本)
一重伸略体(あるいは行)、クロールストローク、両輪伸(あるいは草または平)。
七級(赤帽に白線1本)
適宜の泳法で100m以上泳ぐこと。
※教目とは別に教員(黒帽に白線2本赤線1本)、OB(黒帽に白線2本)、および八(赤帽)がある。
(2018年現在)












